OPINION COMMENT

これは現代のサムライの物語である。
尊厳と揺るぎない信念を持って生き残るための必死の闘いを描いた、激しく悲痛なドラマである。
衝撃的なラストは、エンディング・クレジットの後もずっとあたなの心に残るだろう。

エドヴィナス・プクスタ (Edvinas Pukšta) タリンブラックナイト映画祭 フェスティバルプログラマー

処女作『老人ファーム』では、自主映画で取り上げられることの少ないテーマを手加減なく描き、ステレオタイプの向こう側にある社会の問題を見事に炙り出していた。そんなMino Bros.の精神が、今作にも漲っている。多角的な視点から描き出された、現代社会の複雑な問題。それはいっけんすると、“個々の問題”でしかないと思わせるのだが、実は各々の事象が密接に繋がっているのだと描く構成や設定、人物配置も見事だ。

松崎健夫 映画評論家

「寄る辺なき者たち
それは今、隣で起きていることかもしれない
もう見て見ぬ振りは出来ない」

國實瑞惠 鈍牛倶楽部代表 プロデューサー

それでも生きていかなきゃいけない
それでも生きていかなきゃいけない
それでも生きていかなきゃいけないのだ

中野量太 映画監督

以前から本当に尊敬している俳優・半田周平さんが主演。滅多にお目にかかれない人間性と才能をお持ちの方です。
社会性ある作品で命を削って制作されたのが分かる。こういう意欲的な映画を是非映画館で観て欲しい。半田さんと梅田さん、素晴らしい。

戸田彬弘 映画監督

凄い映画でした。
半田周平さん、梅田誠弘さんが画面に映る度に胸がドキドキして心が躍り、目が釘付けになりました。
それを作り上げたのはサポートするキャスト全員の熱量と監督、スタッフの気合だと思います。
久しぶりに独特の匂い立つ映画を見ました。

小路紘史 映画監督

徹底的に理不尽な世界で渇望される正義が血飛沫と共に脈打つ映画。途中、直視できずに目をつむってしまいました。

藤元明緒 映画作家

長い時間、水の中に潜っているような、とても息苦しい「受難」の映画だ。
この、救いようのない息苦しさこそが、この映画の最大の特徴である。

森岡龍 俳優/映画監督

主人公だけでなく加害者に見える方にも癒されない過去やきっかけがある。主人公がそうならざるを得なかったようにそれぞれのキャラクターの人生の背景を思念せずにはいられませんでした。格差や社会問題という表面的な言葉ではなく深く人の心について考えさせられました。

立石晴香 俳優

この映画に惹かれてしまうのは、世の中の理不尽さを知りながら見て見ぬ振りをし、ふわふわと生きている自分への戒めなのだろうか。
キャスト・スタッフのクオリティが高くとても丁寧に作られた作品だからこそ密度の高い重く暗い作品です。
だからこそ、そこに射す一筋の光がとても眩しく日常生活では見逃してしまいそうなほのかな光すら愛おしく感じます。
自分たちの幸せを優先するあまり、私達はこういった世の中の理不尽さに蓋をしているのではないかと考えさせられる作品です。

山岸謙太郎 映画監督

世界は不均一で不平等だ。
奇蹟は決して起こらず、善行はなんの役にも立たず、報われない。
救済は訪れないし、恩寵はない。呪詛に取り憑かれた男の宿命。
神の不在。
いや、我々は当初から正義なんていうものを誤解していただけかもしれない。
誤解が解けたとき、私たちはさらに深い黒滔々たる闇が拡がっていることに気付くだろう。

ヴィヴィアン佐藤 美術家/ドラァグクイーン

ギリシア悲劇のごとく、主人公の過酷な運命を世界へ向けて突き付ける骨太な映画。
それでいてどこか優しい眼差しを感じるのは、監督たちが主人公を事件性ある被写体として客観視するのではなく、
本気で共感しながら、祈るような気持ちで撮っているからではないか。
負の連鎖を断ち切ろうと藻掻くMINO Bros.&俳優たちの熱量を、劇場で体感して欲しい。

金子雅和 映画監督